フォクトレンダーSLⅡのこと

 最近ネットに掛ってから読むようになったブログの「記憶カメラ」さんで、K-1Ⅱ+アポラン90mm SLの記事が出て驚いた(‘∀`)

 自分は2代目のSLⅡを揃えたのですが…折角だから何か書いておこうと自分なりにSLとSLⅡを調べてみました。長くなったので目次つきw


SLシリーズは7本あった


 WikipediaやInternet Archiveなどで調べた所では、コシナフォクトレンダーSLシリーズは以下の7本がありました。

 ULTRA-WIDE HELIAR 12mm F5.6 SL Aspherical(F-mount)
 SUPER-WIDE HELIAR 15mm F4.5 SL Aspherical(F-mount)
 ULTRON 40mm F2 SL Aspherical
 COLOR HELIAR 75mmF2.5 SL
 APO-LANTHAR 90mm F3.5 SL Close Focus
 MACRO APO-LANTHAR 125mm F2.5 SL
 APO-LANTHAR 180mm F4 Close Focus

 12mm、15mm、75mm、90mmはレンジファインダー用のレンズをレフ機用に仕立て直した感じですね。
 SLシリーズは75mmと125mmが最初だったみたい(2001/5/15に発表)。90mmは2002/2/20発表(レンジファインダー用は2001/1/20)。

 当時のサイトを見ると、時期的にフイルム時代。MF一眼レフ向けな感じで作られていた様でCanon用はFD-mount用、ミノルタのもMD-mount用。
 EF-mountとA-mountに対応しているのは125mmだけ…。
 12mmと15mmはF-mountかつミラーアップ専用…アダプター介してニコンS、コンタックス、ライカにも使えたようです。

 フードは12mmと15mmは無し、40mmはインナーフードが2種類ともに別売、75mmと90mmは共用で1種類別売、125mmだけは付属が1種類、180mmは2種類が別売。

 しかもよく見ると、「Ai-sとM42以外は初回生産分のみ」

 なん…だと…?!

 SLシリーズのAi-SとM42以外はレアって事になりますね…。

 その後、SLシリーズは2007年4月辺りには生産終了と表記されてました。


SLⅡシリーズは4本

 しかしその年の終盤には、その後継になるSLⅡシリーズが出て来ます。
 SLⅡシリーズはAi-SとKAの2マウントでしたが、途中でCanonのEF-mount版も登場します(ただし58mmのEF-mountは出ませんでした)。

 SLⅡシリーズ1本目はULTRON 40mm。Ai-Sが2007/11/17、KAが11/29。
 2009/10にEF-mountも出ます。

 2本目はNOKTON 58mm。Ai-Sが2007/12/28、KAが2008/1/31。
 
 3本目はCOLOR-SKOPAR 20mm。Ai-Sが2009/4/10、KAが2009/6/29。EFは2009/11。

 最後の4本目が、APO-LANTHAR 90mm。Ai-Sは2010/5/1、KAとEFが2010/5/27。

 40mmと90mmは先代SLと同じ光学系。58mmは2003年の復刻版の光学系で…20mmだけ新規設計なのかな?

 SLとSLⅡの違いは、鏡筒デザイン。塗装はSLの銀と黒のツートンカラーから黒一色に。90mmにあったAPOを示す3色のラインも無くなりました。
 これは当時台頭していたデジタル一眼レフに合わせたデザインを意識してのことかと思います。
 またレンズ先端のバヨネット式フードの基部が撤廃され、フードはフィルターねじ込み式に。

 その専用フードは20mmと58mmは別売、40mmと90mmはインナーフードが1種類が付属(インナーフードに付けられるクローズアップレンズも付属)。

 …と、こんな感じで売られていたわけです。


マイクロフォーサーズ企画賛同の時期にK-mount版は終了

 2010/8/26に、コシナがマイクロフォーサーズ企画に賛同し、マイクロフォーサーズ用のNOKTON 25mm F0.99を発表したとの報が入ります。

 そしてその翌月には、K-mount版は全て生産完了になるとのハナシが。
 当時から急速にシェアを奪われ続けていたK-mountに対して、勢いのあったMFTでしたから当然の流れですが…(‘∀`)

 この報せを知った自分は直ぐにフォクトレンダーSLⅡシリーズは買い揃えましたが、資金的にCarlZeissまでは手が出なくて…完全には揃えられないけれど徐々に買っていって…21mm、マクロ50mm、マクロ100mmは揃えられませんでしたね。

 さて、そのSLⅡシリーズでも最後のリリースになったAPO-LANTHAR 90mmのK-mount版は、なんと発売から半年もしない内に終わってしまいました(´・ω・`)
 多分に先代と同じで「初回生産分のみ」か、それに近い程度だったのでは…。

 APO-LANTHAR 90mmのSLⅡも結構レアになりますね…。どれだけ作ったかは分かりませんが。

 そして、その頃のPENTAXのデジタル一眼レフはK-5が売られていた頃。
 フィルム機を使わない限りはフルサイズで使えない…コシナのK-mountレンズがフルサイズデジタル一眼(K-1)で使える様になるまで、5年以上も待つ事に…。

 とはいえ、特にフォクトレンダーSLⅡの4本はK-1を待つまでも無く、ちょくちょく使う様になっていました。
 勿論今でもちょくちょく使っている、お気に入りのレンズなのです(‘∀`)

 ちなみにその後のSLⅡシリーズ自体は、F-mountとEF-mountをメインにピントリングのゴム巻きを廃して金属のローレット加工になった「SLⅡN」、この時アポラン90mmはカタログから消えました。
 次が現行の「SLⅡS」で、F-mountのみに。NikonのMF単ぽいデザインになりカニ爪も追加。カラスコ20mmも無くなりますが、カラスコ28mmF2.8、ノクトン55mmF1.2、アポスコパー90mmF2.8が追加されてます…アポスコパー90mmは寄れません(´・ω・`)


フォクトレンダーSLⅡがお気に入りになったワケ

 なんでお気に入りになったかといえば、至極簡単な理由です。

 スナップ用途を意識して作られている事。

 とにかくこれですね。特徴としては

 DA Limitedシリーズに次ぐコンパクトさと、フルサイズでもAPS-Cでも程良い焦点距離で構成されている事。
 20mmと90mmは必ず入れて40mmか58mmどちらか選んでの3本体制で大抵事足りる事。

 時期的にデジタル一眼レフが台頭してきた頃なので、SL系の中では一番近代的なデザインになっていること。
 SLではMF機での利用をメインに考えている感じだし、SLⅡのあとはオールドレンズやヘリテージデザインが注目されて、それに合わせている感じなんですよね。

 そして勿論、写りの良さ。58mm以外は寄れるのも大きかった。


COLOR SKOPAR 20mm F3.5 SLII Aspherical

 SLⅡからSLⅡNまであった広角パンケーキ。カラスコ20mm。
 このレンズは他のSLⅡレンズよりイマイチな写りだけど、コンパクトさとのトレードオフと思えば仕方ないかなというレンズ。
 寄れるけど最大撮影倍率は低め。

 購入当時の対抗はsmc DA21mm Limited。APS-Cではカラスコ20mmの方が写りが良かったので、HD DA21mm Limitedが出るまで20mm辺りはもっぱらこのレンズを使ってた。
 HD DA21mm Limitedはカラスコを上回ってしまったけれど、フイルム機やフルサイズ機で使ってます。
 最近の対抗はFA20mmF2.8(‘∀`)


ULTRON 40mm F2 SLII Aspherical

 変形ダブルガウスのパンケーキレンズで、初代SLから現行SLⅡSまで唯一続いているウルトロン40mm。
 付属のインナーフードに付属のクローズアップレンズを付けることで、最短撮影距離が0.38→0.25m、最大撮影倍率0.14→0.25倍というクォーターマクロになるのが特徴です。
 現行のSLⅡSでは繰り出し量の長いヘリコイドに変更されてクローズアップレンズ無しに0.25mのクォーターマクロを実現してますが、代わりに全長が13mm程伸びている…けど、まだまだ小さい(‘∀`)

 対抗はDA40mm Limited、FA43mm Limited。
 その特徴はボケ。とにかく開放のボケが凄い。コンパクトさはDA40mm Limitedに譲るモノの描写力はこちら。その描写力もHD化したFA43mm Limitedでも持ち出す時に迷う程。


NOKTON 58mm F1.4 SLII

 銘玉中の銘玉と云う「Kern ALPA Macro Switar 50mm F1.8 ARに迫る」と評された東京光学(TOPCON)のRE,Auto-Topcor 58mm f1.4。
 それをコシナが外観と名称の使用許可を得て、光学系はレンズ構成図を「参考に」設計された復刻版Auto-Topcor 58mm F1.4が、2003年12月にAi-S/M42版それぞれ800本限定で生産、販売されました。
 その復刻版Auto-Topcor 58mm F1.4の光学系をそのままに、外装の変更、名称を「NOKTON」に変えてSLⅡシリーズから販売され現行SLⅡSにもあるレンズ。
 要するに中身はコシナのAuto-Topcor 58mm F1.4。
 TOPCON RE,Auto-Topcor 58mm f1.4の光学系では無いので注意。

 少し望遠寄りの標準レンズなので、対抗レンズも数多いが、最大のライバルはULTRON 40mmだと思う。
 色のりが良いというか鮮やかというか、兎に角良いレンズ(‘∀`)


APO-LANTHAR 90mm F3.5 SL II Close Focus

 SLⅡのK-mount版の販売期間が半年も無かったという曰くが付いた、アポラン90mm。
 元々はレンジファインダー向けに設計されたレンズ(最短1.00m絞り羽根10枚)をSLR用に仕立て直したレンズで、SLとSLⅡ版のみ。
 SL版は0.5mに1:3.5(0.28倍)と寄れるクォーターマクロ超えのレンズで、レンジファインダー用より繰り出し量を増やしているのかなと。絞り羽根も9枚に。
 SLⅡでは外装変更のみで最短も最大撮影倍率も変わらないが、インナーフードの採用でよりコンパクトな運用が可能になり、そのインナーフードに取り付ける付属のクローズアップレンズによって0.5-0.32m、1:1.8(0.55倍)というハーフマクロ超えを達成している。
 APOを名乗っているだけあって、色収差は良く抑えられていて近景は当然、遠景も佳し。

 対抗レンズはDFA100mmマクロで、個人的には90-100mmの双璧となっていてSLⅡシリーズの中では一番出番が多い。
 出来るだけコンパクに持ち出したい時やフイルム機では、このレンズの出番。


SLR用のSLシリーズ

 1970年あたり、嘗ての日本のカメラ製品に押されて相次いで無くなったドイツの老舗光学メーカーにVoigtländerも入ってました。
 それから約30年の1999年に、コシナはVoigtländerの商標権の通常使用権の許諾を得て、その名は現代に甦る事になります。
 その中で産まれた一眼レフ機用レンズのSLシリーズの「SL」は一眼レンズ「Single-lens」から取ったモノかなと思います。
 ただ、当時Voigtländerの権利を持ってたRolleiのレフ機、ローライフレックスSL35やそれをVoigtländer銘にしたVSLシリーズにも使われていた…というのもあったかと。
 そういう事に気が付いた時は少し感慨深いモノが。

 その後、デジタル化の波に呑まれて日本のカメラメーカーの何社かも撤退し、ミラーレスの時代になると、PENTAXも凋落(‘∀`)
 コシナもレンジファインダー用に加えてミラーレス用がメインになってきました。
 その中でもSLシリーズは残ってますからコツコツ続けていくのかなと思いますが、F-mountのみでNikon化しちゃってるのがちょっと…。
 書いてる内にPENTAXはレフ機をやり続けると宣言したのだから、SLシリーズにK-mount用を復活させて欲しいなとか淡い期待をしましたが、売れなくて止めたんだから絶対無理でしょ(^_^;)

投稿者: しらいし じゅん

趣味に奔る人ですε=ε=ε=┌(;゚∀゚)┘

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