NHKスペシャル ドキュメンタリー アジア発 第1回フィリピン「日本製アニメに何を見たか」(91/9/30)

VHSビデオにはこんなのタイトルの番組があった。
フィリピンで放映されたボルテスVに起きた事件についての番組だ。
これは元々、NHKが日本以外のアジアの国の人達が日本に対してどういうメッセージを、イメージを持っているか、企画・取材・編集の全てを地元の人達の手によって作って下さいと呼びかけて作られたシリーズ「ドキュメンタリー アジア発」というシリーズの第1回目に当たる。第1回のフィリピンは「アルタ・パワー」という地元の制作会社が手掛けた。
日本からフィリピンに輸出された、個人的に大好きだった「ボルテスV」。
コンバトラーVよりもボルテスVのが好きだった。何故かというと、なんて言うんだろう、何処か悲壮感が漂う感じが好きだったのかな。ドラマにやられちゃったのもあるし。
ライバルキャラが実は異母兄弟だったとか…ねぇ(‘∀`)
当時は米国産アニメの再放送でウンザリしていたフィリピンの子供達は飛び付き、一大ムーブを起こすくらいだったみたいで、最高視聴率は脅威の58%。日本の時よりもヒットしていたそんなアニメが、最終回を間近に控えたある日、放送中止になってしまった…。
日本アニメのヒットで、他にも様々な日本アニメが放映され出した中で、唯一放送中止になったのだ。
詳しいことはwikipediaにも載るくらいのモノなので、それを参照で。
今思うと、放送中止にいたる真相は闇の中(当時の子供の親の世代に反日感情または日本に対する懸念、不信感が高かった事と、革命を恐れる人達との利害が一致したという説は、確かに辻褄が合う)って感じだが、マルクス政権が打倒されてからの国営放送による再放送よりも、このドキュメンタリーが制作されて日本で放映された8年後の99年の再放送の方が数字は良かったみたい。
と、ボルテスVに纏わる事をネットで仕入れてから、このドキュメンタリーの放送から21年後の今改めてこの番組を観ると、どうにも対日感情の高さがクローズアップされてて、wikipediaにもあるように革命どうこうというのにはあまり触られてはいない。
「当時のマルコス政権に対する不満の高まり」や「政府も国民に対する威信回復の為の戦略としての標的に最適」と言う程度。
日本史研究家で、歴史家でナショナリストとかいう教授も今観ると、まず歴史家なのにナショナリストってなんだ(´Д`;)
案の定、たかだか1アニメに凄い日本人が秘めた策略のために利用した手段だったと裏付けたとか。トンデモだわー。
当時反対運動をして取材に応じた人の声を聞く限り、当時の子の親の世代の対日感情の燻り方は相当なモノだったみたい。
それを考えると、何処か昔の日本人の精神に通じるようなオープニング歌詞とか、うーん…なんかそう思われても仕方ないかな…とも思ったり。
あのアニメには確かに何かそういう臭いが漂ってる感じがするのも事実なんだよな。制作サイドにそんな意図が無かったとしても。
例え何があろうと戦いへ赴こう。
信頼し合う仲間と共に、ボルテスVに全てを賭けて、力尽きるまで。
地球の夜明けは近いのだから。
うむむ…(´Д`;)
唯一放送中止になった日本アニメ。しかしこの作品が持つ臭いというか雰囲気もまた唯一だった気もする。それが放送中止たらしめたのではないか。
ただ、当時のマルコス政権がたかだか1アニメで、革命を恐れて放送中止にするとは思わない…。どっちかというと当時の子供の親の世代が敏感に反応してそういう動きになってしまっただけなのかなと…。マルコス政権や政府はそれに上手く便乗しようとしたのかな。
まぁ当時の子供達は、そんな大人の事情とか、歌詞から臭うモノなんて知らずに、単に面白いから観ていただけなんだけどね。
そう、実際は単純な理由で人気を得ていただけなのに、それを突然取り上げられてしまった事について当時の子供達は非常に悔しい思いをしたのはインタビューからも分かる。
では、ボルテスVに反対・抗議していた親や大人達は、当時の子供にどんな弁明をしたのだろうか。
とても興味が沸くけど…もう寝ないとなー(‘A`)